フランスの自動車メーカールノーの代表車
日本では日産自動車と提携していることでも知られているルノーで、最も人気が高い車種となっているのが「カングー」です。
まずルノーとはどういうメーカーかということを先に簡単に説明すると、1898年にフランスで創業された自動車メーカーであり大戦中より多くの自動車を生産し世界に送り出してきました。
しかし第二次大戦中に一時的にドイツの占領下におかれてしまったことをきっかけにドイツ軍のための自動車を生産することになってしまい、そのことが戦後に大きなイメージダウンとなり創業者であったルイ・ルノーは獄中死をするという痛ましい結果になっています。
戦後ドイツ占領から解放されたルノーはフランス政府によって国営企業となり、以後1986年に民営化されるまでフランス政府が運営をする自動車会社として存在をしてきました。
のちに1999年に日産のCEOカルロス・ゴーンが同じくルノーのCEOとなったことで提携がなされましたが、現在でもルノーの筆頭株主はフランス政府であり、日産自動車は15%の株式比率を持つ第2株主となっています。
一方ルノーは日産自動車の株式を40%近く保有している筆頭株主であり、形式的には日産自動車はルノーの傘下の企業ということになっています。
同じCEOであるカルロス・ゴーン氏ですが、ルノーと日産の自動車造りを一体化させることはなく提携が開始される時点から「日産らしさを失わせない」という日本独自の方法を貫く方針を徹底させてきました。
その結果ルノーと日産は現在までまったく異なる企業文化を持った別ものの自動車メーカーとして存在をしています。
当然そのことにより販売されている自動車の形状やスタイルは大きく違っており、日本国内のルノーのお店では日本ではちょっと見られない独特のデザインの車種を見かけることができます。
アメージング・パンプキンを乗りこなす
カングーという車種が登場したのは1997年のことで、当時ルノーの主力モデルであったクリオ(日本国内ではルーテシア)からの次世代機として登場をしました。
カングーエクスプレスという名前で呼ばれていた車は、ルノーのオフィシャルカラーである山吹色のモデルを表に出していたことで、「アメージングパンプキン」という愛称で親しまれ多くのファンを獲得しました。
車体の特長は高い屋根と広い社内、後部座席には両側スライドドアを装備しているという点です。
またトランク部分になるバックドアでは観音開きを採用しており、荷物の多い家族向けにとって非常に使い勝手がよいと当時より大評判になりました。
日本においてこのカングーが輸入されるようになったのは本国より4年遅れること2002年の3月からで、日本向けに若干のモデル変更はありつつも使い勝手の良さはそのまま踏襲されています。
ルノージャポンで販売されているカングーは後部ドアが跳ね上げ式のハッチバックになっているところに大きな変更がされており、よりルノーらしさを求めるファンは並行輸入品である観音開き式のカングーを求めて購入するということもありました。
なお当時は本体価格は並行輸入品の方が20万円ほど高くなってしまいましたが、それでも本家のバックドアがどうしても欲しいという声は高かったようです。
現行モデルではバックドアが復活
カングーは現行モデルでは何度か改良がくわえられ、いくつかのタイプ別の仕様で販売をされています。
かつてルノーファンから総スカンを食らった跳ね上げ式のハッチバックタイプは特別使用車となり、現在では標準的な車体にすべて観音開き型ドアがつけられています。
日本でのカングーユーザーに多いのはやはり荷物や人数が多くなりがちなファミリー層で、後部に多くの荷物を載せることができることからスポーツやアウトドアを好む人に人気が高いようです。
後部のスライドドアも子育て中の女性にとってうれしいところで、広々とした車内空間を好んで子供との移動用の車に使用している人も多くみられます。
またフランスらしいデザイン性の高さと、時期によって発売される特別使用車が人気となっておりかわいくておしゃれな車に乗りたいという女性からも多く買われています。