自動車教習
コラム

今は褒めてくれるらしい教習所

かつての自動車教習所の教官はとても厳しかったのではないでしょうか。
教習所内の交差点で右折の教習を行った際、「小回りすぎるんだよ!」と注意というより叱責に近い、厳しい言葉で指導されたことを覚えています。
厳しい教官、優しい教官の差があり「今日はあの教官か~怖いな~」となったことも。
しかし、今ではどの教官もほめる指導に変化しているそうです。一体どうしてでしょうか。

教官がほめる理由

教官がほめるのはおべんちゃらや調子のいいことを言うのではなく、できたこと・できなかったこと、努力したことに対して認めるという意味だそうです。
ほめられたのに落ち込む人は少ないでしょう。ほめられることで自信と自主性が生まれ、失敗しても次はがんばろうと前向きになれます。
人は一生懸命がんばったこと、できなかったことができるようになったことに対して「認めてもらいたい」「ほめてもらいたい」と思うはずです。
毎日、教習を行っている教官にとっては当たり前のことかもしれません。実際、そのような態度だったり、指摘されたりすると、やる気はなくなる一方です。
そこで、やる気を出してもらうため、ほめる教習へと変化しました。

背景には少子化、クルマ離れ

近年、少子化やクルマ離れによって新規教習生の数は減少の一途です。
こうした状況から教習所では教習生確保のため、今までの厳しい教習をからほめる教習に指導方法が変化したと考えられます。
昔ならば普通免許の取得は当たり前の時代、多少横柄な教官でも、当たり前として問題になりませんでした。
しかし、少子高齢化により教習生が減ったため、より良いサービスが必要になったのでしょう。
また、コンプライアンスが重視される時代になったこともあります。高圧的な態度だとパワハラと取られかねません。
SNSの普及によって、教習所の評判が拡散される時代です。
そのため、厳しい言葉より優しくほめる指導へと変わっていくのは道理でしょう。

AT限定免許も要因

新車のほとんどがAT車で占めており、普通免許もAT限定で十分とする風潮になっています。
AT車はエンストすることがほぼないため、厳しく指導する必要がないのも要因の一つでしょう。
以前に比べて、普通免許を取得するハードルは下がっています。また、今までのように指導ではなく、学んでいただくという顧客ファーストのサービス業に近づいていっていると思います。
とはいっても、免許を取得したら終わりではなく、免許を取得して路上に出てからが始まりです。
隣で優しく指導してくれる教官はいません。すべて自分で判断しなくてはならないのですから。